番外編004【破滅への優しさ】
番外編004【破滅への優しさ】
こんにちは、教師の転職コンサルタント、藤井秀一です。
先生をめざす人の特徴・・・・。
その一つは、そう、親切心が強いこと。
かつての私の同僚に、とても生徒想いのとびきり熱い教師がいました。
どんなに手間と時間がかかっても、一人ひとりの生徒と向き合うことを最優先していました。
問題を抱えた生徒を呼んでは膝を交え、その子が納得できるまで真剣に話し合うのです。
時に生徒が笑いながら「暑苦しい!」とまで表現するほど、熱心な指導ぶりでした。
私もかなり熱血型の教師でしたが、2歳年下の彼には負けてしまうかもしれません。
徹底的に生徒を守り抜こうとするその姿勢を見て、私も尊敬の念を抱いていました。
ところがある時、私は彼のごく小さな異変に気が付きました。
私が話したことや頼んだことを、彼が忘れてしまう場面が続いたのです。
ほんのふた月ほどの間に、そんなことが3~4回あったでしょうか。
私はふと、「彼の仕事量は限界を超えているのではないか?」と感じました。
しかしその時はわずかにそう思っただけで、彼に注意を促すことはしませんでした。
先ほどお話しした生徒との対話のほかに、彼は実技科目の添削も毎日続けていました。
校内でその科目を預かるのは彼一人だけで、3つの学年、全クラスの課題を添削していたのです。
そんなある日、出勤してきた彼の顔を見て、私は鳥肌が立つほどの恐怖心を抱きました。
たとえて言うなら、能面の般若のような表情・・・・。
生気がなく、何かに憑かれたかのような激しい疲労の色が見えました。
私は先日ふと感じたことを、思い切って彼に聞いてみました。
すると、堰を切ったかのように滔々と、彼は仕事のつらさを語り始めたのです。
うつの一歩手前、やはり体力的にも精神的にも、キャパシティを超えてしまっていたのですね。
私は彼に、「作業量を減らすとともに生徒との面談も頻度を下げるように」と指示しました。
まじめな彼は一瞬困った顔をしましたが、次の私の言葉に大きく頷いてくれました。
「あなたが倒れたら、生徒たちはどうすればいいんですか? あなたは一人しかいませんよ?」
生徒への強い愛情を持ち、その優しさゆえに理想を追い求めたくなることはあると思います。
しかし、そのために自分の肉体や精神を破壊したのでは、まったく本末転倒な話です。
彼はその頃からさまざまなアレルギー症状を訴えるようになり、治らなくなってしまいました。
「限界を超えてるかも」と感じた時は、一日も早くご同僚とご相談なさってくださいね。
一人で悩んでいる間は解決に向かうのが難しいことに気付いてください。
※私は教師の転職コンサルタントです。
元教師の自分にしかサポートできない、先生方の転職支援を展開しています。
(21年間の教職経験と、キャリアカウンセラーの認定資格を持っています)
先生方の学識や経験、そして何より「教える」技術は、企業にとっても重要な能力なのです。
その能力を実業界で活かせれば、この国の経済や産業の発展にも大きなパワーとなります。
「あなたの能力をこの国の将来のために活かしてほしい」と私は願っています。
「転職できればいい」ということではなく、自分の能力を活かせる天職・適職を手に入れましょう。
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ご相談はまずメールでどうぞ(初回相談無料):info@officemuteki.com